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毎日JPより

ニュース争論:交通事故などの特異な脳損傷 石橋徹氏/吉本智信氏


 交通事故などで脳に特異な損傷を負う「軽度外傷性脳損傷」(MTBI)について、厚生労働省が調査を進めている。その原因を、脳の組織が傷ついている器質性とみて患者救済を訴える整形外科医で湖南病院院長の石橋徹医師と、多くは心因性だとする関東中央病院脳神経外科部長の吉本智信医師が論じ合った。【立会人・宍戸護、写真・小林努】

 ◆患者全員に学際的診断を--整形外科医、湖南病院院長・石橋徹氏

 ◆データ蓄積、まず東京から--関東中央病院脳神経外科部長・吉本智信氏

 ◇どんな病気、症状か



 石橋 MTBIは、欧米では90年代から認識され、世界保健機関(WHO)は04年に基準を作っています。その基準を満たすMTBIの患者さんは、記憶力が悪くなったり、理解力が下がる高次脳機能障害のほか、手足のまひ、食べ物がのみ込みにくい、尿や便を漏らすといった症状が確認されています。その原因は脳の情報伝達を担う神経線維が所々切れた状態である「軸索損傷」と考えます。電線を束ねたケーブルが外からの衝撃でプツプツ切れているイメージです。微細であるため、コンピューター断層撮影(CT)などの画像異常が得られません。米国には、MTBIが治らない患者さんを指すミゼラブルマイノリティー(悲惨な少数の人たち)という言葉もあります。



 吉本 現在、重い頭部外傷は米国でも日本でもデータベースができており、ある程度把握できます。中程度もデータベース作りを始めていますが、石橋先生が主張される軽いものについてはきちんとしたデータベースがなく、MTBIがどういう病気なのか定まっていません。WHOの診断基準は急性期の意識障害や健忘症、一時的な症状を認定要件に挙げています。一時的な症状とは、まひや失語症、けいれんなどを指し、これらの症状が一時的でない場合はMTBIに含まれないと思います。いずれにせよ、WHO基準は、統一した基準を作ってデータを集め、研究を進めませんかという提案だと思います。もちろん、ミゼラブルマイノリティーの存在は、ほとんどの医師の共通認識でしょう。ただ、その原因が、脳の組織が壊れている器質的な損傷によるものなのか、その人が元々持っているものや環境が影響した心因性によるものなのか、は議論が分かれるところだと思います。

 石橋 WHOの基準は、慢性期の持続する異常を除外していません。その証拠にWHOの07年のMTBIの報告書で、英国の研究者の論文を引用して「軽度、中程度の2分の1はその後も生活能力の低下に悩んでいる、良い結果が得られない」と指摘し、米国の有名な脳神経外科の教科書でも「MTBIのうち10~20%の人たちは症状が治らない」と書いてあります。今の日本社会では、高次脳機能障害も、私の患者さんたちが訴えている身体障害も十分な評価をされないまま、心因性とされている例が非常に多いです。心因性とは、患者さんの性格や社会的地位、収入のほか、仕事や人間関係や事故処理などが影響したものです。重症な患者を扱う脳神経外科、首から下しか関心がない整形外科、外傷は診ない神経内科の間にMTBIは埋もれているというのが、私の正直な感想です。私は今、500人の患者さんを診ていますが、3分の1は悲惨な状態です。こんなに症状が重い人が日本にもいることを多くの医師に訴えたいです。

 吉本 患者さんが訴えている症状と、それが器質的なものかどうかは別個だと思います。外傷性脳損傷ではまず急性期と慢性期を分けないといけない。軽度頭部外傷の人の多くは、大した後遺症を残さないことに異論はないと思います。例えば、交通事故の患者さんが来たらCTを撮って、何ともなければ帰します。脳外傷は浮腫、遅発性の脳内血腫があって1週間後くらいまで起こりうる。たまたま事故後は症状が出ないで3、4日後に出血して症状が出ることはある。しかし歩いて帰った人が3カ月後、半年後に症状がだんだん悪くなったというならば、それは違う原因を探さないといけない。器質性障害が見つからない場合、心療内科や精神科に頼むことになると思います。

 ◇分かれる診断、認定

 石橋 そうした診断に納得いかない患者さんが私のところに来ます。診察や検査を全部やり直します。脳、脊髄(せきずい)、手足の神経を診て、異常がある場合、神経系の眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリ科、精神科に検査を依頼します。自分が見つけた異常が本当に存在するか、専門家に診てもらうためです。私一人の診断では十分ではないと考え、自分の診断能力が及ばない部分は、専門医にお願いする。MTBIの診断には学際的なアプローチが求められていると思います。高次脳機能障害や視覚、聴覚、嗅覚などのまひ、身体のまひ、尿や便の不調があれば、精神的なものという考え方はできないのです。

 立会人 CTなどの画像上の異常を求める労災や自賠責保険における認定基準についてはどう考えますか。

 石橋 CTや磁気共鳴画像化装置(MRI)で脳損傷が映らないケースがあることは、医学界の常識です。画像に映らないといずれもほとんど認められないのは問題です。WHO基準は画像所見を求めていません。

 吉本 画像と意識障害がやはりポイントです。画像所見も意識障害もないものは器質性とは認められない。ただし心因性ならば、非器質性障害だと認められるわけです。ところが患者さん本人が心因性を認めたがらない。労災も自賠責も非器質性という受け皿は整備されていると思います。

 ◇今後の研究、課題

 立会人 今後の研究はどう考えますか。

 吉本 私は石橋先生がやられている仕事をすぐに認める気にはなれないが、データを蓄積することは大切です。常識が変わるのが進歩の歴史であり、その時には情熱がある医師が現れます。ただし、自分が勝手にこう思っているというのでは説得力がないですから、膨大なデータを基に提示しないといけない。さらに神経系の医師がそれぞれの検査と所見を出したからといって、どれだけ信頼できるかという問題もあります。

 石橋 神経系を診る複数の専門医による検査や所見が重なれば、障害の裏付けになります。

 立会人 データの蓄積のために、具体的な提案はありますか。

 吉本 MTBIのデータベースづくりは、最初は東京都に限定すれば可能性はあると思います。都の救急隊にはマニュアルがあり、数年前からオンラインのデータベースになっています。そこで事故1年後の患者さんを調査すればデータは集まります。ただし個人情報が大きな壁になりますが。

 ■聞いて一言

 ◇障害抱え苦しい生活、早く救済の仕組みを

 記者はMTBIの患者にたくさん会った。多くは交通事故後、高次脳機能障害や身体障害を抱えている。車椅子の人もいる。だが脳損傷を示す画像所見がなく、事故時に重い意識障害もないため、労災や自賠責保険の要件を満たさない。働けない人も多く、苦しい生活を強いられている。各地の裁判ではその原因が器質性か心因性かが争われている。心因性では、事故との因果関係は薄められ、患者の障害等級が低くなりがちであり、障害給付や保険金が減る。長妻昭厚労相(当時)が研究開始を表明してから1年半たつ。一日も早く患者を救済する仕組みを作ってほしい。(宍戸)

==============


心因性という言葉に患者がどれだけ苦しめられたか…
自分の身に降りかからないと、一生気づけない
医師もいるのですね。
 


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非公開コメント

No title

膨大なデータとは「膨大な苦しんでる患者」とゆうことですね。
あの先生は、どれほどの能力のある先生なんですか?
同職の先生方の能力にまで疑いをかけるとは、あさましい限りです。

あの先生の、お話を聞き入れて患者になるなら日本に行ける病院なんて無いに等しい。

No title

関東中央病院
部長と云う肩書きですが
脳神経外科には
1人しか医師はいません
孤高の医師です

No title

あっこ 様

月曜日は、どうも、生徒が落ち着かなくていけません。
あっこ家のお子さんたちは、いかがでしたか?

さて、ニュースを引用なさる時は、(ニュースに限りませんが…)出典を明記された方がいいと思います。
その方の「立ち位置」や「報道する側の姿勢」か明確になるからです。

この記事は、「毎日新聞 2011年10月24日 東京朝刊」ですね。
URLは、以下の通りです。
http://mainichi.jp/select/opinion/souron/news/20111024ddm004070002000c.html

吉本先生は、以前、テレビで、脳脊髄液減少症の特集をやった時も、かなり批判的な発言をされていました。

その時に比べれば、今回、テーマは違うとはいえ、かなりトーンダウンしているようにも読み取れます。

孤高かどうかは別として、(孤高には崇高な、気高い、という意味合いがふくまれるので…)学会であれだけのアピールがあった以上、今後は、声高に異を唱えることは、医師としてのモラルにも反してくるのではないでしょうか?

やはり、私としては、高橋先生の「病を見ずして、病人を見よ。」の信念をどこまでも信頼申し上げます。

No title

「重症な患者を扱う脳神経外科、首から下しか関心がない整形外科、外傷は診ない神経内科の間にMTBIは埋もれているというのが・・・」
この記事を読み、
頭が痛くなり・・出口はまたまたとおもいました。

縦しかない横の繋がりがない医療の現状が私達病人をもっと苦しませる要因にもなることですようね。



コメントをいただきました皆様

お返事をまとめて申し訳ありません・・。
残念さん、今さん、あきちゃん先生、あぁちゃんさん
ありがとうございます。

どこの先生か・・偉いか偉くないか・・
よりも
心がある先生かどうか・・
きちんと患者に向き合えるか・・
が医師に求められていると思います。

テーマが違うとはいえ・・なんだか
この記事を読んだとき・・
声高に脳脊髄液減少症の批判をしていた
ときと私には重なって思え、
いつまで患者さんに同じことするつもり?って
腹が立ちました。

先生が書いた自動車保険が出版元の
「低髄液圧症候群」の本のことを思い出し、
先生の主張でどれだけの患者が苦しんだか、
司法でも患者さんは打ち負かされたか・・・。

あぁちゃんさまのおっしゃる横のつながり・・
色んな意味での統合医療のようなものが
実現されてほしいです。

あきちゃん先生、
我が家の子供はいつもどおりでした・・よ!
それと、患者さんのつぶやきの
ツイッターから転載してしまいました。
引用元今後気をつけます!

「病気をみずして病人をみよ」こういう
先生ばかりだといいのにな・・と
思います。





総合医療

最近では総合医療を標榜する受診科目も目にするようにはなりましたが、僕らは一人の人間として一体的に扱ってほしいです。あっちこっち沢山の診療科を行き来するには疲れます
早いとこ総合医療を実現してほしいですね
コメントへのコメントです

訂正

孤高→孤独
訂正します
一人しか医師がいなくて、肩書きが部長にはびっくりしました
普通、部長がいるなら科長もいますから

・・・・。

吉本医師は一般的にエリート街道を歩んできたのかもしれません。
でも残念ながら・・・医師に必要な心が育ってないように思います。

成長過程で勉強だけしてきたのでしょうか?
なんだか可哀想にも感じます。

この時期に来てこの発言をせざるをえない人生を
医師として歩まれてきたこと・・・。

今更・・・患者サイドに立つことはプライドが邪魔しているのでしょうか?
本当に可哀想な方です。

病を治す立場でありながら
病を重くする発言しかできない・・・。
あなたを憐れみます。

叩くつもりも怒るつもりもないのですが
可哀想な患者さんを沢山みてきて
悲惨な経験を自ら味わって
身をもって心因性なんかじゃない、
事故が引き起こす明らかな病だとわかったから
医師でありながら
病を治す立場でありながら
経験していないことを思い込みで否定するあなたを
心の底から憐れみます。

ちょっと変だぞ?

あっこ様

他のブログにもこの記事がアップされていて、再度読んでみました。
吉本先生は、「精神的なもの」と「神経的なもの」の語義を混同されているような気がします。
まさに、「精神的に」反対の立場を認めていないだけで、「科学的証拠が示せないから、その説は間違い」とおっしゃっているわりには、ご自分の説も、十分、科学的では ないように、素人目には見えてしまいます。
つまり、症状というきわめて理科的な問題に、社会科的な混同があるように感じます。
では、行って参ります。
今日は、生徒が落ち着いていることを、願います。

今さん あきちゃん先生

今さん

詳しいですね!
孤高ではないですね。吉本先生・・。
むしろ、人(患者)が去る・・だから孤独になる。
だって、すべては自分が蒔いた種ですから。

100%悪人はいないと思いますから、
早く気付いてほしいです。気づけないと、
間違いなく後悔する日がくると思います。

統合医療色んな意味で私も大切だと
思います。横との連携ができていると
ドクターショッピングも無くなりますし・・
西洋医学と東洋医学においてでさえ
タックル組めばとても良い相乗効果を
患者さんにもたらすと思います。



あきちゃん先生

おはようございます!
生徒は落ち着きましたでしょうか?
思い返すと、私もそんなに落ちつきの
ある生徒ではなかった?(苦笑)
楽しくて仕方がないときですから、
土日明けの月曜日、友達に
あえるだけでも落ち着けないことは
あるかもしれませんね

でも、先生は向き合うわけですから・・
いろいろと大変ですね(笑)

吉本先生、超エリート街道
まっしぐらであるとは聞きましたが・・

どれだけの患者に苦痛を与えれば
気がすむのでしょうか・・・。

脳脊髄液が減少することにより
脳が下垂して、「神経」を傷つけられる
から、たくさんの症状がでるのであって・・
脳が下垂して、「精神」を傷つけられる
のではないと思います。

敢えていうなら・・・吉本先生の発言に
「精神」(心)を傷つけられる・・。といった
ところでしょうか。

しかも、出版した本の出版元が
自動車保険の出版社は・・ありえない・・・
と思います。(苦笑)



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心因性も器質性か

最近の研究では各種の精神病も脳の器質的変化(損傷?)の影響が明らかになりつつあります。但し、研究段階で、臨床との乖離が大きい現状です。ご承知とは思いますが、ご参考まで

今さん

おはようございます!

そうなんですね・・。

確かに、交通事故などで脳脊髄液減少症となり
放置されそして高次機能障害となるような場合
気質が変化することありようですね。
患者さんのブログを読むとそれらのことも
書かれていました。

脳は、いろんなところに繋がっているので
色んな可能性を否定しない方がいいですね。
研究と臨床を共に進めてほしいです。

ありがとうございました。
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